ドイツまちづくり情報　

　近年、地方分権・住民参加・地区計画や自然保全など、いろいろな意味でドイツのまちづくりや都市計画制度が注目されております。しかし、言葉の壁のため、わからないこともあり、誤解も見られます。この「ドイツまちづくり情報」は、そのようなドイツのまちづくりをよく理解していただくために作成したもので、次の両者で構成されています。

各地におけるまちづくりの実態 ／ まちづくりの背景である制度面

　地球環境問題に対応した都市のあり方等で、ドイツのまちづくりは今後さらに注目されるだろうと思います。すでに定年を過ぎている私も、ドイツ都市計画に関する情報収集を続けていくつもりです。皆さんも、一緒に「言葉の壁」を乗り越えてみませんか。

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（本ページは、福島大学住居学研究室ページの閉鎖に伴い、 2017年3月末にここへ移転させ、改装したものです）

「まちづくり」と本ホームページについて　（クリックで表示／非表示切り替え）

「ドイツまちづくり情報」は、日本で「まちづくり」とされていることが、ドイツでどのように行われているかを紹介しようとしたものです。もちろんドイツにも、日本の「まちづくり」にほぼ相当し、新聞などで広く用いられている用語があります。 ひらがなの「まちづくり」という言葉の普及に大きく貢献したのは、横浜市の都市計画に長く関わり、多くの実績をあげた田村明氏です。1987年出版の著書『まちづくりの発想』（岩波新書）のpp.19〜26に、「まちづくり」という言葉を広く使用することとなった経過が説明されています。少し長くなりますが、その一部を引用します。 　この計画は、はじめは横浜市への専門的な報告書の形で示したが、市は、全面的にこの計画を取りあげることになり、市長から市民への提案という形で発表することになった。従来の計画のように、行政側で決めてしまったものを市民に示す、ということを改めたのである。（中略）問題はタイトルの付け方である。いろいろ考えたあげく、『横浜の都市づくり』、サブタイトルは「市民がつくる横浜の未来」とした。（中略）「計画」という言葉も、もちろん悪い言葉ではない。私自身が、「都市プランナー」を職業としているのだから、計画という言葉も、大いに使っている。しかし、役所が「計画」というと、役所が一方的に決めたものを、市民に従わせようというニュアンスで受けとられやすい。あるいは法や制度にのっとった上からの権力的なもの、という意味が強かった。（中略）そこで生まれたのが、「・・・計画」ではない「都市づくり」という言葉であった。（中略） 　このころ［註：1965（昭和40）年］を契機にして、正式の市の長期計画や総合計画にも「都市づくり」、さらに、より市民的感覚をもつ「まちづくり」と称するものが現われてきた。私自身も、その後、横浜市の正式な総合計画に、「市民による新しいまちづくり」というサブタイトルをつけてみた［註：1973（昭和48）年の『横浜市総合計画・1985』と思われる］。いっそう市民的な親しみやすさをねらったのである。早いものは昭和44年の京都市の『まちづくり構想−京都』あたりから始まっている。もちろん、タイトルを変えたからといって急に内容が変わるわけではないが、とにかく従来の硬直的な役所形式を改め、市民参加や、人間的な内容を求めようとしている。（中略） 　昭和50年代になると「まちづくり」という用語は一般化して、今やブームといわれるほど全国各地で広く用いられてきた。それは新しい「まちづくり」の波と言えるだろう。「町づくり」「街づくり」とも書くが、ひらがなだけの「まちづくり」が一番広く用いられる。これと類似した用語としては「都市づくり」「地域づくり」「村づくり」があり、「地域おこし」「村おこし」「邑おこし」「島おこし」などというものもある。これらの動きはいずれもこれまでのような全国画一的な地域開発ではなく、自分たちの住み生活している場を再認識し、地域に合った住みやすい生き生きした魅力あるものにしてゆきたいという意図がこめられている。（中略） 　これまでの「まち」は、ほっておいてもなんとなくできてくるとか、誰か他人がつくってゆくもので、住民は受動的に住まわせてもらっているというニュアンスが強かった。（中略）しかし、今日いう「まちづくり」はそうではない。そこに住んでいる人たちが自分自身の問題としてかかわりをもち、「つくって」ゆくべきだという積極的な姿勢が基本である。他人にまかせておいたのでは、好ましい「まち」はできない。住民は、まちの"借家人"ではなく"オーナー"であり、まちをつくる責任がある、という自覚の表現である。（以下略） この趣旨から考え、「行政」ではなく「市町村議会」が決定するドイツの「建設誘導計画」（ＦプランとＢプラン）はもちろん、交通などの関連する計画は、まさに「まちづくり」です。もちろん原案は行政が作成しますが、決定するのは「議会」で、議会が「このような案を作成してほしい」と行政に依頼するケースもよくあります。議会は市民の代表で構成され、政党によって見解が異なり、厳しく対立することも少なくありません。各政党は、マスコミなどを通じて考えを市民に発信し、その支持を得ようとします。一方、市民の側でも、「イニシアティブ」などのグループを形成して政治に働きかけるケースがよく見られます。田村氏が「まちづくり」という言葉で表現し、期待しようとしたものが、このような政治と市民の動きではないかと思います。 私が「まちづくり」という言葉を用いることには、自分の体験も影響しています。都城工業高等専門学校の建築学科に勤めていた頃、建築のどの分野が専門なのか尋ねられることが何回かありました。初めのうちは「都市計画」と答えていましたが、そう説明すると、たいてい話しは発展しません。何か難しい、理解困難なことをやっているという印象を与えてしまった感じです。それで、ある時、ふと専門は「まちづくり」と説明してみました。すると、会話が発展していくのです。こうして、「都市計画」と「まちづくり」で、与える印象が大きく違うことを実感しました。 　この「ドイツまちづくり情報」は、日本でも市民がドイツと同じようにまちについて考え、議論し、計画に参加することを期待して、「ドイツのまちの動き」を中心に説明しています。だから、この思いを表現する最も適切な日本語が、ひらがなの「まちづくり」だったわけです。（2017.04.04／2022.12.01更新）

（ＦＣ２サイト） 主にルール地方の新聞を資料として、ローカルなまちづくり情報を紹介しているブログです。
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ドイツのまちづくり − 制度、背景と実態
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