ドイツまちづくりQ&A 大型店と商店街 |
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日本では、日米協議の影響で「大規模小売店舗法」が弱体化させられて郊外に大型店の出店が続き、さらに法律の枠組みが「大店立地法」に変わってしまいました。一方、ドイツは「大型店を都市計画的に規制している」ことで有名で、同時に商店街活性化への努力も行っています。そこで、大型店規制の違いや商店街の説明を試みることとしました。
ドイツ | (旧)大規模小売店舗法 | 大規模小売店舗立地法 | |
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規制の目的 | 都市計画的な発展と秩序の確保 | 中小小売業の事業活動機会の確保 | 大型店周辺地域の生活環境の保持 |
立地場所と商店街との関係 | 統合型立地と孤立型立地を区別し、商店街に立地する統合型立地を進め、孤立型立地は厳しく制限しようとしている | 周辺の中小小売店の保護を目ざしているため、商店街に立地する方が強い反対を受けやすい | 立地場所への関心は低く、商業地区では設置が必要な駐車場台数が少なくなる程度である |
既存商店街の売上減少予測 | コンサルタント等に売上減少の予測を依頼することが多い | 議論の重点となるが、専門家による予測は行われない | 法律の目的外であり、地域的な需給状況を勘案することは禁止されている |
扱い品目による売場面積の制限 | 都心や近隣商店街といった立地に応じた制限が行われている | 調整4項目外なので、許されない | 法律の目的外なので、許されない |
交通量の予測 | コンサルタント等による予測が行われる場合が多い | 法律の目的外なので、行われない | 開店時の予測は行われるが、その後の展開までは考えない |
周辺の道路整備状況 | 重視しており、周辺の道路や信号を整備するための費用を求められるケースも少なくない | 調整4項目外なので、無関心である | 届出が必要なのは出入口の数と位置までで、店舗設置者に周辺整備を義務づけるのは無理だと考えられる |
駐車場整備への視点 | 状況に応じて考慮が行われる | 調整4項目外なので、無関心である | 十分な駐車場整備が求められる |
住居系地域における小売店規制 | 周辺住宅地を対象とした店しか許容されず、厳しい | 近隣型店舗と広域対象の店舗の区別がなく、規制が緩い | 近隣型店舗と広域対象の店舗を区別がなく、規制が緩い |
周辺市町村との関係 | 一定の調整が期待でき、裁判を求めることも可能である | 市町村の境界に近い場合には若干の調整はある | 周辺の生活環境しか考えないので、調整は期待できない |
規制の対象 | 古い工業系のBプランや連たん市街地に立地する場合は規制の対象とならない | 一定以上の店舗面積を有する大型店がすべて対象となる | 一定以上の店舗面積を有する大型店がすべて対象となる |