シュツットガルト都心のケーニッヒ通り


 これはシュツットガルト都心で最も人通りの多いケーニッヒ通りの写真で、2002年7月22日(月曜日)の午後4時半頃に撮影したものです。「本当に人通りが多いな」と思いつつ、シャッターをきりました。

ケーニッヒ通り4時半

 ここは位置的に駅から500mほど、ケーニッヒ通りのほぼ中央部で、シュロスプラッツ(シュロス=宮殿)という広場の前です。通りの正面にベンツのマークが載った塔が見えますが、あの塔のあるところが駅です。写真左に見える列柱を持つ建物はケーニッヒゲボイデという名称で、都心を象徴する建物のひとつです。建物内にはレストラン等があり、後側は郵便局になっています。この建物の前(つまり写真の右側)に、広場を挟んで、シュロスプラッツという名称のもととなったバロック調の新宮殿が建っています。宮殿内部は州の庁舎となっており、見学できなかったと思います。シュツッツガルトはバーデン・ヴュルテンベルク州の州都で、すぐ近くには州議会の建物もあります。

 写真中央に青い「U」のマークが見えますが、あれは地下鉄(Uバーン)の停留所を示します。ガソリンに対する税金等を活用し、路面電車が地下に潜ったわけです。駅にあるベンツのマークからわかるように、シュツットガルトは「自動車工業の町」なのですが、それでも歩行者と公共交通を大切にしているわけです。(02.07.30/02.08.12更新)


 上の写真に対し、次のような質問をいただきました。
この写真では、たしかに多くの人が歩いていますが、その殆どが、Tシャツ、ジーンズ姿の若い人で、まるで大学のキャンパスのようです。中高年者はあまり見あたらず、ネクタイ姿に至っては見つかりませんでした。なぜこんなに若者ばかりが歩いているのでしょう。
 なかなか難しい質問ですが、次のような原因が考えられるでしょう。
ケーニッヒ通り5時

 これは、上の写真を撮った30分ほど後に、シュロスプラッツと駅のほぼ中間地点で撮影した写真で、中央に見えるのは噴水です。私がシュツットガルトに住んでいた1970年代前半は、ここに路面電車や車が走っていたわけで、当時と比較し、都心の人出は確実に増加しています。そのころは歩道を歩いていたわけですが、現在は広い道路をゆったり歩き、椅子とテーブルを並べたオープンカフェでコーヒーやビールを飲んでゆっくりくつろげるようになったわけです。平日の夕方5時にこの人出なんですから、本当に驚いてしまいました。

 ところで、日本も歩行者天国(ホコテン)がはやり、銀座がホコテンになった時代もありましたが、日本の場合は休日だけの交通規制として行われているものも多く、噴水などの恒久的な施設が並ぶドイツの歩行者空間とは性格が違うように感じます。上の写真でもわかるように、ドイツの歩行者空間が目ざしているのは、噴水やベンチなどの施設を整えて人々に滞留してもらい、「商店街は楽しいところだ」と多くの人が集まって来ることで、買物を買物以外の行動と結合することが重視されています。

 その歩行者空間によく登場するのが、「オープンカフェ」と呼ばれる道路空間を利用したレストランで、私もドイツを旅行するときはよく利用します。道路沿いにあるレストランや喫茶店が道路を店舗空間として利用するもので、市に道路占有料を支払う必要があります。店を拡張するより安く済みますし、客が多いときだけの利用となるので、広い店舗で必要となる経費を節約できるので、オープンカフェはレストランにとって有り難い存在です。なお、日本には欧米流のオープンカフェはまだないそうですが、道路に接した店舗の敷地等を利用したものはあるそうで、私も六本木のアークヒルズで見たことがあります。

 それから、大型店問題について州議会の議事録を調べていたところ、「シュツットガルト都市圏は商業進出に関する自治体間の調整がうまく進んでいる」という発言を見つけました。大型店問題に対抗して中心市街地の活性化を図るには、自治体の計画権限を一部制限することも必要であると論じられており、広域調整に思いを巡らしました。(02.07.31/03.05.18更新)