「農地に準じた課税」を解明する上でポイントとなったのは、「現行の地方税法において、どのような仕組みで『農地に準じた課税』が生じ得るのか」という点でした。これを理解した後、続いて「この仕組みがいつ生まれたのか」を過去に遡って調べ、「1976年度」という結論にたどり着きました。
法律、なかでも「地方税法」の附則は複雑で、難解です。そこで、法律の条文から「農地に準じた課税の誕生を理解するために必要な部分を抜き出し、わかりやすく言い換えて」説明したいと思います。ポイントとなるのは、附則にある以下の4つの規定です。
附則4規定の関連 | (農:一般農地、準:農地に準じた課税、宅:宅地並み課税) |
---|
附則 | ポイントとなる内容 | 経過 | 適用の有無 |
農 | 準 | 宅 |
19条 | 旧 | 農地の固定資産税額は、1963(昭和38)年度の額を超えないものとする。 | 1964年に登場 1976年に改正 | ○ | ○ | × |
新 | 農地の固定資産税額が前年度に比較して大幅に増加する場合は、一定割合(負担調整率)までの増税にとどめる。 |
19条の2 | 1972年度以降の市街化区域農地への固定資産税の課税標準は、類似宅地の価格をもとにして定められる。 | 1971年に新設 | × | ○ | ○ |
19条の3 | 市街化区域農地への固定資産税は、本条に定めるものに関しては、附則19条を適用せず、数年間で宅地(住宅用地*)並みの税額にする。 | 1971年に新設 1973年に改正 | × | × | ○ |
29条の7 (29条の5**) | 附則19条の3は、三大都市圏の特定市街化区域の農地以外については、当分の間適用しない。(2003年改正で「その場合は住宅用地と同じ3分の1評価とする」規定を追加) | 1973年に新設 | × | 区別 |
*)1973年に住宅用地の固定資産税の課税標準を2分の1とする「課税標準特例」が新設されることに伴い、本条の対象となる市街化区域農地の価格も2分の1とされた。その後、1994年から3分の1とされている。
**)新設時は附則「29条の5」で、3年後の1976年に新たな規定の導入で後に下げられ、附則「29条の7」となった。
|