「農地に準じた課税」による増税経過

市街化区域農地への課税問題

 1976年度に「農地に準じた課税」が開始された後の税額変化を、表に示しました。「田平均額」に示している金額は、当初の「水田千平米(1,000平方メートル)あたりの平均税額491円」に対して、負担調整率の最高値(上限)が適用され続けた場合の税額です。
 表のように、当初は年数百円の増税幅(前年の税額との差)でしたが、税額が増加するにつれて増税幅も拡大します。途中で負担調整率の上限が「年2割」から「年1割」に下がり、一旦は増税額が縮小しますが、数年でまた拡大し、2010年代には1万円を超えます。

負担調整による増税経過

経過年数年度負担調整率
の上限
累積倍率田平均額増税額
開始前据え置き額1.0 491円
1年後1976年度 (S51)20%1.2 589円98円
2年後1977年度 (S52)20%1.4 707円118円
3年後1978年度 (S53)20%1.7 848円141円
4年後1979年度 (S54)20%2.1 1,018円170円
5年後1980年度 (S55)20%2.5 1,222円204円
6年後1981年度 (S56)20%3.0 1,466円244円
7年後1982年度 (S57)20%3.6 1,759円293円
8年後1983年度 (S58)20%4.3 2,111円352円
9年後1984年度 (S59)20%5.2 2,533円422円
10年後1985年度 (S60)20%6.2 3,040円507円
11年後1986年度 (S61)20%7.4 3,648円608円
12年後1987年度 (S62)20%8.9 4,378円730円
13年後1988年度 (S63)20%10.7 5,253円875円
14年後1989年度 (H01)20%12.8 6,304円1,051円
15年後1990年度 (H02)20%15.4 7,565円1,261円
16年後1991年度 (H03)20%18.5 9,078円1,513円
17年後1992年度 (H04)20%22.2 10,893円1,815円
18年後1993年度 (H05)20%26.6 13,072円2,179円
19年後1994年度 (H06)20%31.9 15,686円2,614円
20年後1995年度 (H07)20%38.3 18,824円3,138円
21年後1996年度 (H08)15%44.1 21,647円2,823円
22年後1997年度 (H09)10%48.5 23,812円2,165円
23年後1998年度 (H10)10%53.3 26,193円2,381円
24年後1999年度 (H11)10%58.7 28,813円2,620円
25年後2000年度 (H12)10%64.5 31,694円2,881円
26年後2001年度 (H13)10%71.0 34,863円3,169円
27年後2002年度 (H14)10%78.1 38,350円3,487円
28年後2003年度 (H15)10%85.9 42,185円3,835円
29年後2004年度 (H16)10%94.5 46,403円4,218円
30年後2005年度 (H17)10%104.0 51,043円4,640円
31年後2006年度 (H18)10%114.4 56,148円5,105円
32年後2007年度 (H19)10%125.8 61,762円5,614円
33年後2008年度 (H20)10%138.4 67,939円6,177円
34年後2009年度 (H21)10%152.2 74,732円6,793円
35年後2010年度 (H22)10%167.4 82,206円7,474円
36年後2011年度 (H23)10%184.2 90,426円8,220円
37年後2012年度 (H24)10%202.6 99,469円9,043円
38年後2013年度 (H25)10%222.8 109,416円9,947円
39年後2014年度 (H26)10%245.1 120,357円10,942円
40年後2015年度 (H27)10%269.6 132,393円12,036円
41年後2016年度 (H28)10%296.6 145,632円13,239円
42年後2017年度 (H29)10%326.3 160,196円14,563円
43年後2018年度 (H30)10%358.9 176,215円16,020円
経過年数年度負担調整率累積倍率田平均額増税額
注)税額の小数点以下を四捨五入しているため、1円以下の誤差がある。

注)この表に示した税額(田平均額)は、「最終税額(原則として評価額の1.4%で、「本則課税」とも言われる)が高い場合の金額」です。実際には、最終税額の7割に達すると、その後は増税幅が縮小していきます。たとえば最終税額が10万円の場合、7割の7万円を超えた2009年度以降は増税が次第に小幅になり、7〜8年後に最終額の10万円に達して増税が終了します。宅地評価額が大都市より低い地方都市は、すでに多くがその状態に入っています。
 だから、2018年度(平成30年度)以降も計算して表を伸ばすことはできますが、その意味はありません。現在も増税が継続している農地はありますが、その大半は1976年度より後に「市街化区域の拡大」で市街化区域に編入されたものです。
 この表は、あくまでも"田"を対象としたもので、"畑"の場合は事情が異なります。増税開始前の「据え置き額」の平均が175円(1,000平方メートル)と、田の約1/3の税額だったからです。宅地としての評価は田も畑も基本的に同額なので、畑の場合は、増税がさらに10年ほど長く続くことになります。

(11.12.24/23.09.06更新)
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