ドイツまちづくりQ&A  自治体レベルの住民投票

 わが国には、開発や環境をめぐって住民投票を要求する動きがあります。ドイツでは、連邦、州、自治体(市町村)の3段階とも、一定の有権者による直接投票制度がありますが、自治体レベルの直接参加は、長らくバーデン・ヴュルテンベルク州に限られていました。ところが、1990年代に入り、自治体レベルで住民投票制度が急激に連邦全土に拡大し、まちづくりに関係する問題も取り上げられてきています。状況を見ていると、住民投票が住民参加として最も優れた方式だとも言えませんが、そのマイナスを補うヒントを垣間見ることができるかもしれません。

  • バーデン・ヴュルテンベルク州の制度はどのようなものですか。
  • 住民投票までの手順を教えて下さい。
  • 90年代に住民投票制度が連邦全土に広まったのはなぜですか。
  • 州によって制度にどんな違いがあるのですか。
  • 最近の住民投票にどのような例がありますか。
  • Bプランの当否を住民投票で争うことができますか。

  • バーデン・ヴュルテンベルク州の制度はどのようなものですか。


    住民投票までの手順を教えて下さい。

    1. まず、住民投票を要求する住民が、質問を定め、理由を説明した文書を作成します。その後、住民投票の請求に賛同する人の署名を集め、必要な署名が集まったら自治体に提出します。この段階を「住民請求」(Bürgerbegehren)と呼びます。
    2. 署名を受け取った後、必要な署名数があるかや、請求された投票内容が許容されているかがチェックされます。法律で市町村長に権限が与えられている事項や、税金に関する事項に対しては、投票することができません。また、費用の必要な事項を要求する場合は、財源を確保する方策を示すことが求められています。
    3. 以上の条件が満たされた場合、議会は、市民の要求を認めるかどうかを議論します。議会が要求を認めた場合は、ここで手続きが終了し、投票は行われません。
    4. 議会が住民の提案に反対する場合には、「住民投票」(Bürgerentscheid)へと進み、直接民主制で決定されます。投票の結果が有権者の30%以上を獲得した場合、その決定は「議会の最終決定」として扱われ、議会で勝手に変更することはできません。投票後3年間は、新たな住民投票が行われない限り、投票で決定した事項を変更することはできません。

    90年代に住民投票制度が連邦全土に広まったのはなぜですか。


    州によって制度にどんな違いがあるのですか。


    最近の住民投票にどのような例がありますか。


    Bプランの当否を住民投票で争うことができますか。


     1998年8月に学芸出版社から出版された「地域共生のまちづくり−生活空間計画学の現代的展開」の第4章「生活空間の新しい計画のあり方」に、「ドイツにおけるまちづくりと住民投票」として、カールスルーエやミュンヘンで行われた住民投票の実例を紹介しております。また、科学研究費補助金の報告書『まちづくりへの住民参加形態としての住民投票のあり方とドイツにおける実態の研究』(2004年)も福島大学附属図書館のネット上に置いておりますので、それらも参考にご覧下さい。

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