文章中に太字で示した部分が3ヶ所ありますが、これは都城市の線引きにあたって大きな問題とされた点であり、当初の答申文で強調されていたわけではありません。
委 員 | 飯沼一省 上子俊秋 佐橋 滋 館林宣夫 中馬 馨 中根千枝 三輪修平 |
池田 斉 五島 昇 斉藤栄一 高山英華 津田文吾 秀瀬日吉 和田正明 |
雄川一郎 向坂正男 谷村 裕 田実 渉 中田政美 三好重夫 |
臨時委員 | 伊藤俊夫 楠瀬正太郎 横山光雄 |
井上 孝 恒松制治 |
梶田 勝 八十島義之助 |
専門委員 | 宮崎 仁 岩間英太郎 大茲弥嘉久 |
佐治 大 金光克己 鈴木珊吉 |
青山 俊 中野和仁 長野士郎 |
(2)市街化区域の設定にあたっては、上記のように都市計画区域の人口、産業の見通しを定め、このうち市街地に配置すべきおおむね10年後の人口、産業の規模を定める必要がある。この場合市街地人口は、都市計画区域内総人口、1次、2次、3次産業別人口の見通し、人口分布の現況等を勘案して定めるものとし、また、市街地内に配置すべき産業は、都市計画区域内の農林業等を除く産業分類別就業者数、工業出荷額、商品販売額、用途別建築床面積等の見通し及び事業所の分布の現況等を勘案して定めることとすべきである。
(3)市街化区域の規模は、上記のように定められた市街地人口及び産業を適切に収容するものでなければならない。市街化区域の規模を定める場合には、既成市街地及びその周辺部(既成市街地に接続して現に市街化しつつある地域をいう。)における人口・産業の動向と市街地再開発の計画等を勘案して既成市街地及びその周辺部に配分すべき市街地人口及び産業を定め、残余の市街地人口及び産業を容れるために必要な新市街地の規模を算定し、これと既成市街地及びその周辺都の規模とをあわせたものを市街化区域の規模とすべきである。
この場合、新市街地の規模は、住宅地については人口を基礎とし、地形、開発の方式、住宅の型式等を勘案した適切な人口密度の基準によりその規模を定め、商業地・工業地等については産業の業種就業者数等を基礎とし、一定の基準によってその規模を定めることとすべきである。この場合、住宅地の人口密度については、大都市の既成市街地の周辺等の土地を高度に利用すべき区域にあっては100人/ha以上とすることが適当であり、その他の区域にあってはこれを80人/ha以上とすることを目標とし、土地の利用度が現在低い地域であっても少なくとも60人/ha以上とすることとすべきである。なお、大規模な公園、鉄道の操車場等の施設及び海岸・河川・急傾斜地その他市街地として利用しえない土地であって市街化区域に含められるものについては、必要なものを市街地の規模に算入するものとする。
(4)市街化区域の設定は、上記のように定められた市街地の規模に基づき、これを具体的な場所におろしてその区域を定める必要がある。この場合には、既成市街地及びその周辺部は当然市街化区域とされるが、新市街地については、市街地開発事業その他の都市計画事業又は相当規模の開発行為による計画的な開発の実施の見込みのある区域を主体として市街化区域を定めることとすべきである。この場合、用途地域の指定の状況を勘案するほか、地形その他の自然的条件、交通施設の配置、主要都市施設の整備の見通し等を考慮して、市街地とすることが不適当な場所を含まないようにすべきである。また、市街化区域は、既成市街地を含み一体的に定めることが望ましいが、計画的開発の見通しのある住宅適地、工業適地又は鉄道の駅等市街化の核となる施設を含む区域については、飛び地的に定めることも必要である。ただし、飛び地的な市街化区域は、市街化区域設定の趣旨からも公共投資の効率の確保の点からも、原則として、50ha以上の面積をもった区域とすべきである。
なお、溢水、湛水、津波、高潮等による災害の発生のおそれのある区域及び当該区域を市街化することにより他に溢水等の災害を発生させるおそれのある区域は、原則として、市街化区域に含めないこととすることが適当であり、当該都市の発展の動向等からみて、これを市街化区域に含める場合には、当該区域の市街化の動向をみながら河川改修その他の所要の措置を講ずることが必要である。
(5)また、自然景観の特に勝れている区域、近郊緑地等都市の環境を保護するため緑地として保全証すべき区域等は、原則として、市街化区域に含めないこととすることが適当である。さらに、農業との調整に特に留意して、土地改良事業その他の農業に関する土地基盤整備事業を実施中の区域及び相当のまとまった規模の優良な集団農地等で、今後とも長期に農用地として保存すべき区域は、市街化区域に含めないこととすることが適当である。
市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域であり、市街地としての土地利用を図ることができないので、この区域内の農地については、耕作者の営農意欲を尊重し、地域の特性に応じた農業の振興を図ることが適当である。また、市街化調整区域において近郊緑地、自然公園、保安林等将来にわたり保全する必要のある地域については、将来ともその区域の市街化を抑制すべきことを市街化調整区域の保全の方針として都市計画に定めることにより、長期的にみた土地の合理的利用の確保を図るべきである。
(6)市街化区域と市街化調整区域の境界は、原則として、河川、水路、鉄道、道路、崖等の明確な地形・地物により定めることとし、これにより難い場合は、町界、字界又は市街地開発事業の施行区域の境界等現地において明確に判断しうる境界をもって定めることが必要である。
(7)また、新・都市計画法では、おおむね5年ごとに基礎調査を行なうこととされており、その結果に基づいて必要な場合に都布計画の変更を行なうこととされているが、この再検討の際には、その時点における市街化区域内の市街化の状況を勘案し、さらにその時点からおおむね10年後の人口・産業の見通しを定めて、当初の設定と同じ原則にたって、市街化区域の変更を行うこととすべきである。
さらに、高速道路、鉄道、大規模な産業開発の計画の決定等市街化区域設定の際予想されなかった著しい事情の変更があったときは、都市計画の再検討を行なって必要な市街化区域の変更を考慮すべきである。
(2)市街化区域において都市計画を定める場合には、市街化区域の整備、開発、保全の方針に基づき、地域地区については専用地区、容積地区等を積極的に定めるとともに、都市施設については従来から都市計画に定めていたもののほか、都市河川、鉄道、学校等の各種の都市施設を総合的に定め、市街地開発事業についてはこれを積極的に定めて公的機関及び民間の事業を促進すべきである。
(3)市街化区域における都市施設については、おおむね10年後の都市の社会的経済的活動を支えるために欠くことのできない必須の根幹的都市施設を重点として整備の目標を定め、効率的な投資を行なうため事業の優先度をきめ、計画的にその実施を図る必要がある。
(4)市街地の整備に要する費用の負担については、根幹的都市施設は国及び地方公共団体が、その他の主として地域住民の利用に供される施設は開発者が負担することを原則として、その基準をさらに明確にし、その運用を適切に行なうべきである。
(5)市街化区域の効率的な整備を図るため、従来の既成市街地中心の公共投資の考え方を改めて、既成市街地の周辺部の整備及び新市街地の開発にも積極的な投資を行なうとともに、後述するように、既成市街地、その周辺部及び新市街地の各地域について整備の重点に応じ必要な整備の方策を定め公共投資の効率化に努める必要がある。また、市街化区域の整備については、当該市街化区域の特性と地方公共団体の実情を十分考慮しつつ適切な方策を講ずる必要がある。
(2)東京、大阪等の大都市については、既成市街地に立地する必要のない工場、学校等の都市機能の分散を促進し、また、都心部に立地している問屋、市場、倉庫等の流通施設が交通混雑の大きな原因となっているので、効率的な環状道路等を整備するとともに、これに接続して貨物駅、トラックターミナル、流通団地等を計画的に配置して業務交通の円滑化を図り、さらに、地下鉄網の整備を進め、これに直結する通勤鉄道の都心乗入れを推進する等通勤輸送力の増強をはかるべきである。これらの大都市においては中枢管理機能をになう業務施設の増大が予想されるので、副都心の開発、整備が必要であるが、その開発整備にあたっては、能率と環境を確保するため業務施設、消費施設等を合理的に集団化させ、また、これらと一体として道路、公園、駐車場等の都市施設を整備することが必要である。さらに、職住の近接を図るため既成市街地における中高層住宅の建設を積極的に促進することが必要である。
なお、大都市の既成市街地においては、震災その他大災害時における避難拠点、避難路の整備に努めるべきである。
(2)土地区画整理事業の実施にあたっては、市街化の程度、住宅地の整備の必要性、都市施設の整備の計画等の観点から施行順序を定め、また、幹線街路の整備費を公共の負担として事業に投入すること等によりその実施の円滑化を図るべきである。
(3)この区域においては、中高層の住宅を建設して土地利用の高度化を図る必要がある。このため土地区画整理事業の完了した区域に中高層住宅の建設が促進するとともに、その他の地域についても一団地の住宅施設の都市計画をできる限り定めて中高層住宅の建設の促進を図るべきである。また、民間の事業にも一団地の住宅施設の都市計画事業を認可して都市計画事業の特典を与え、住宅の供給を促進することが必要である。
さらに、住宅適地を所有する地主が土地を売らずに自ら住宅を建設して住宅の供給を増加することに寄与させるような措置をとる必要がある。
(2)この区域の整備については、宅地、住宅を大量に供給すべき区域としての役割が発揮されるよう公共機関が新住宅市街地開発事業、工業団地造成事業、土地区画整理事業等の大規模な面的整備事業及び一団の住宅施設の都市計画事業を積極的に行なう必要がある。また、民間開発者による大規模な開発に期待するところが大きい地域については、これらの者に良好な市街地を形成させるよう指導援助を行ない、これを促進することが必要である。
(3)この区域内の根幹的都市施設については、地域間連絡街路、総合公園等特に重要なものは先行的に整備することが必要であるが、市街地開発に関連する根幹的都市施設は計画的開発と並行して整備されるよう配慮すべきであり、そのため実施時期を調整しつつその事業化を図ることとすべきである。また、面的整備事業により整備されるものについては、公共施設管理者負担金を投入するとともに、開発者が主要な公共施設を整備したときも国又は地方公共団体がその用地費の一部を負担する必要がある。
(2)市街化区域の整備は、都市施設用地、市街地開発事業用地の先行取得が積極的に行なわなければその円滑な実施が確保されないので、そのための財源措置等を講ずる必要がある。
(3)地方公共団体は、都市計画制限の適切な実施を図り、また、都市計画事拳に関する自己財源の確保の努力をして都市計画行政の推進に努めるべきである。 さらに、都市計画の執行体制の強化のため、組織の拡充、予算の確保を図り、また、関係職員の交流、教育、研修を積極的に行なうとともに民間コンサルタントの育成強化を図るべきである。