文章中に太字で示した部分が数ヶ所ありますが、これは、答申が三大都市圏を主眼に書かれていることを示すためであり、当初の答申文で強調されていたわけではありません。
(2)このような単発的開発によるスプロール現象は、(イ)市街地の開発が地価の動向に引きまわされたため市街地の拡大に計画的な方向を与えられなかったこと。(ロ)道路、配水施設等市街地として必要な最低現度の基礎的施設さえ備わっていない土地であっても宅地として市場性をもち得るということ。(ハ)このような宅地としての最低限度の要件を備えていない土地に対しても、電気、ガス、水道等のサービスを供与し、さらに道路、下水道等の公共施設を追いかけて整備することが公共の責任に転嫁されていること等、現在のわが国の社会的経済的な背景に起因するところが大きいと認められるが、いわゆる”ブランク・エアリア”における開発行為に対する有効な規制等市街化を計画的に誘導する法的手法に欠けていることが直接の原因であると認められる。
(2)地域ごとの対策−このような考え方から、都市地域を次に掲げる基準により、既成市街地、市街化地域、市街化調整地域及び保存地域に区分し、それぞれの地域ごとに土地利用の規制、誘導、都市施設の整備を行なうとともに、地域間の公平を図り併せて宅地供給の促進を図るため所要の税制措置を講ずるものとする。
(イ)既成市街地
(3)地域区分の適用範囲等−このような地域区分は、一般的には、すべての都市について必要であるが、現在、このような対策が緊急に要請されているのは人口及び産業の集中の著しい都市地域であって、当面、東京、大阪及び名古屋周辺等緊急に対策を必要とする地域から順次適用すべきである。
なお、これらの地域区分は、4の(1)で述べるように、実質的な都市を単位とした区域ごとに行なうこととすることが、計画策定の手続、規制の主体等の面からも適当である。
(2)幹線道路、下水道幹線等の整備に関する公共投資は、現在その整備が立ちおくれている既成市街地内において継続的に実施することはもちろんであるが、上述の如き責任分担の原則を確立するという趣旨を実現するためには、市街化地域に集中的、先行的に実施するものとし、これを道具として秩序ある市街地の形成を積極的に促進する一方、市街化調整地域においてはこれらの公共投資は、原則として、行なわないものとし、無秩序な市街地の膨脹を抑制するとともに、追随的公共投資を予防し、公共投資の効率性を確保する必要がある。
(3)
(4)次に市街化調整地域においては、支線的施設のみならず、幹線的施設についても開発者の責任と負担において整備し、一定の時期に公共団体の管理に移すことが必要であると認められる。
(2)以上のような諸要請を充分に配慮しつつい効果的な土地利用計画を策定する手続としては、広域的立場からの配慮をする能力を有する都道府県知事が計画の決定を行なうこととすることが妥当である。そして、この場合においては、地元の地方公共団体の立場を尊重する趣旨から、関係市町村の意見をきくものとするとともに、計画の内容の合理性を確保するため都市計画審議会の議を経なければならないものとすべきである。
ただし、一定規模以上の市については、案の作成は当該市の市長に行なわせるものとし、その上で、知事が広域的立場から調整を図りつつ、計画の決定を行なうこととすることが妥当である。
なお、国の立場からの調整を必要としない一定の場合を除き、計画の決定については主務大臣の認可を要するものとすべきである。
(3)土地利用計画は、良好な都市環境と円滑な都市機能の確保を目的とし、都市住民全体の利益の増進を図るものであり、市民生活に密着するものであるので計画の決定に当っては、公聴会、説明会の開催、意見書の提出とその公正な処理等、一般住民の意見を充分に反映させる手続を経ることにより、計画の合理性と実効性を担保する仕組を確立することが必要である。また、土地利用計画は、土地所有者等の利害に影響を及ぼす場合もあるので、関係権利者の不服の処理について適切な手続上の配慮をする必要がある。
かくして決定された土地利用計画の内容は、図面、図書等の適切な表示形式により、常に一般市民にその内容を周知せしめる措置を講ずることとする必要がある。
さらに、土地利用計画の内容については、一定の期間ごとに基礎調査を行ない、それに。基づいて必要な補正を行なうこととすることにより、その内容をできる限り新たな都市発展の動向に適応させるものとすることが必要である。