都市マスタープランに関する国会答弁

 この資料は、1992年の第123国会における衆参両院の建設委員会会議録からマスタープランに関連した政府答弁を抜き出しものです。全体で31項目あり、全体を6種類に分類しております。答弁は話し言葉なので、かなり冗長な部分もありますが、状況がわかるように一部を除いてそのまま収録しています。なお、質問は省略しましたが、衆9のみは質問で都市計画中央審議会の答申に触れられており、答弁の位置づけがわかりにくいので質問要旨を掲載しました。

 なお、この資料は、日本建築学会東北支部が1993年度に青森県から受託した「都市計画における市町村マスタープランの考え方」の調査を行う過程で作成したものを基礎に、最近の地方分権の論議をふまえて項目を追加したものです。

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答 弁 順 目 次

衆議院建設委員会

衆1
(マスタープランとは)市町村が主体的に具体的ビジョンを示すもの
衆2
(その他)都市計画は国土利用計画に適合する必要がある
衆3
(マスタープランの策定)具体的内容を盛り込むので、議会の議決を義務づけず
衆4
(マスタープランとは)市町村マスタープランを土台に都市計画をつくるのは前進
衆5
(その他)マスタープランを定めてほしいが、義務づけは難しいと考えた
衆6
(その他)マスタープランに地区計画を策定すべき区域を明示するよう指導したい
衆7
(その他)マスタープランに地区計画を明示することは効果がある
衆8
(マスタープランとは)各都市計画案を市町村のトータルな将来像に位置づける
衆9
(整・開・保との関係)整・開・保の充実は後に回し、市町村マスタープランを提案
衆10
(マスタープランと権限)知事が定める都市計画にも機能を果たし得るよう充実を
衆11
(マスタープランとは)市町村のビジョンを具体的・ビジュアルに明らかに
衆12
(都市計画の権限)広域の見地から決定すべき用途地域は知事決定とした
衆13
(都市計画の権限)これまでも権限委譲に努めており、今後も進めたい
衆14
(マスタープランとは)二段階都市計画への一歩の前進である

参議院建設委員会

参1
(マスタープランと権限)改正案は答申の決定権限に対する提言にこたえている
参2
(マスタープランと権限)市町村と知事の意見が違った場合は十分な協議を
参3
(マスタープランとは)ゾーニングはきわめて重要な要素になり得る
参4
(その他)都市計画決定ではいい案が重要なので、市町村レベルの専門家も大事
参5
(マスタープランの策定)市町村レベルでの合意形成が重要なテーマ
参6
(マスタープランの策定)具体的プロセスは各市町村の創意工夫にゆだねたい
参7
(都市計画の権限)用途地域は広域的に定めるので、きめ細かさは地区計画に
参8
(都市計画の権限)市町村が重要で、マスタープランはそれに沿ったもの
参9
(マスタープランの策定)推進に努力するが、時間よりも内容の方が重要
参10
(マスタープランとは)現在の都市計画が合わない場合は都市計画変更も必要に
参11
(整・開・保との関係)市町村に密着した事項はマスタープランへ移行するだろう
参12
(マスタープランとは)基本構想は文章中心の大綱で、マスタープランは図面中心
参13
(マスタープランの策定)住民意見の反映が極めて重要で、市町村が的確な措置を
参15
(その他)衆議院修正は政府の考えを認めたうえで位置づけを明確化した
参14
(マスタープランと権限)市町村中心に定めるべきで、将来像を自由に描いてよい
参16
(整・開・保との関係)整・開・保は都市計画区域全体で、市町村単位がなかった
参17
(整・開・保との関係)整・開・保を尊重しながら定めるのが現実的


◆衆議院建設委員会会議録

衆1(マスタープランとは)市町村が主体的に具体的ビジョンを示すもの

(建設委員会議録第9号、92.05.13、p.13)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 今回御提案申し上げております市町村の都市計画に関する基本的な方針についてのお尋ねでごさいますが、これにつきましては、それぞれの市町村の町づくりのビジョンを具体的に定めるものであってほしいと思っておる次第でございます。  具体的な都市計画決定をする前提といたしまして、自分たちの町や村が将来どういうふうになるのかという姿をあらかじめマスタープランという形で提示しておきまして、それで具体的な都市計画事業等を行っていくということが、(中略)、基本的には市町村の自主性が十分発揮されたマスタープランでなければ意味がないというふうに思っているわけでございます。
 ただいま御指摘ございましたように、かなり枢要な部分については国や県が押さえておって、市町村がどの程度自主的なものがつくれるのかということでございますけれども、そういったものが仮に国道であり県道であったとしても、あるいは国の施設、県の施設があったといたしましても、トータルとしてその町や村がどうあるべきかという観点からは、やはり市町村の主体性が確保された中で町づくりとして具体的にビジョンが決められていかなければならない、またそういったものでなければ意味がないという観点に立ちまして、私どもも懸命にそういった方向で努力していきたいと思っておる次第でございます。
 端的に申し上げまして、国の計画等につきましても、市町村におきましてはそれを与件として受けとめてつくっていく計画と、ある程度こうあってほしいという要望も含めた計画と両面あっていいのではないかなと私は思っておりますが、それはかなり具体的なマスタープランづくりの中で、それぞれの市町村の中で十分な議論を重ねながらコンセンサスを得ながらつくっていくという意味におきましては、それぞれの市町村でそれぞれの特色を持ったマスタープランでもいいのではないかなというふうに思っておる次第でございます。

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衆2(その他)都市計画は国土利用計画に適合する必要がある

(建設委員会議録第9号、92.05.13、p.17)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 それで、都市計画と国土利用計画とのいろいろな関係でございますが、いわゆる国土利用計画法に基づく国土利用計画につきましては、全国計画と都道府県計画と市町村計画の3つがあると承知しておりますが、このうち全国計画と都道府県計画は、都市計画との関係でいきますといわゆる上位計画といいますか、都市計画はこれらの計画に適合したものでなければならないということで、都市計画法でも第13条第1項というところで、国土計画または地方計画に適合したものでなければならないというふうにされておるわけでございます。
 それから、市町村計画につきましては、市町村の議会の議決を経て定められるということになっておりまして、これは都市計画法第15条第3項に、市町村の建設に関する基本構想に即して都市計画は定めなければならないということになっておりまして、その基本構想の中の一つであるというふうに認識しておるところでございます。都市計画の具体の決定に際しましては、こうした長期的な観点から定められます国土利用計画と連係した計画内容でなければならないというふうに基本的な考えを持つと同時に、法律上もそういう位置づけになっておるというふうに理解しております。

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衆3(マスタープランの策定)具体的内容を盛り込むので、議会の議決を義務づけず

(建設委員会議録第9号、92.05.13、p.19)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 具体的な、都市計画決定手続を経て定められますいろいろな都市計画があるわけでございます。その都市計画につながるような、できるだけ具体的なマスタープランでなければマスタープランをつくる意味合いが薄れてくるという認識に私どもは立ちまして、利害の調整等は都市計画決定手続の中で最終的にはしっかりとなされるわけでございますから、そういった意味合いにおきましては、マスタープランはまだ法定手続という観点では、そういうプロセスとしては少し緩やかなプロセスのままにしておいて、しかし十分住民の意向もその中に描きながらデッサンをしていただく。できるだけ内容が具体的なものであってほしいという意味合いから、国の制度として議会の議決を義務づけるということはしなかったわけでございますが、現実にマスタープランを定める際に、市町村等におきましてどういったような形で住民の総意を反映させるかということにつきましては、いろいろと創意工夫があってしかるべきだと思いますが、法律上の手続として議会の議決を義務づけるということは、やはりマスタープランとして非常に具体的な内容のものを盛り込むということに関してどうかなというふうに考えた次第でございます。

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衆4(マスタープランとは)市町村マスタープランを土台に都市計画をつくるのは前進

(建設委員会議録第9号、92.05.13、p.29)

【答弁】山崎建設大臣
 マスタープランの問題でございますが、市町村がみずからのマスタープランをつくる、そのことは当然じゃないかということは私も申し上げました。その点について基本認識は一致しているということも申し上げたわけでございますが、現状がそうなっていないとは申し上げていないのでございまして、都市計画はすぐれて地方の手によってつくられている、現状でもそのように考えているのでございます。都市計画審議会、市町村の審議会あるいは県の審議会等にほとんどゆだねられておるわけでございますから、計画そのものは地方の手によってつくられていると私は考えておるわけでございます。
 (中略)そこで、今回の法改正におきましては、(中略)市町村のマスタープランをみずからの手によってつくっていただく、そのマスタープランをいわば土台といたしまして都市計画がつくられていくべきである、そういう新しい改革が盛り込まれている。このことは非常に大きな前進ではないかと考えているところでございます。そういった意味で、一つの大きな前進として受けとめていただければ幸いでございます。

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衆5(その他)マスタープランを定めてほしいが、義務づけは難しいと考えた

(建設委員会議録第9号、92.05.13、p.29)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 今回御提案申し上げております市町村のマスタープランでございますが、法律上は「市町村の都市計画に関する基本的な方針」ということでございまして、これにつきまして私どもといたしましては、都市計画を定めるすべての市町村においてこういったものは定めてもらうようにしていただきたいということは、基本的にはそういう考え方を持っているわけでございますけれども、これを法律上、そういうマスタープランを定めなければならないというふうに法定化しなかったのは、やはりこのマスタープランというものの持つ性格が、都市計画の基本に据えるものではございますけれども、いわば私権の制約を直接伴うとかそういったものではございませんので、市町村が将来の都市のあるべき姿というものを描いて、それをマスタープランとして定めて、それに基づきまして具体的な都市計画を決めていく、そういう姿でございますので、すべての市町村でそういうマスタープランを定めることを義務づけるというところまではちょっと難しいかなと思った次第でございます。
 基本的な考え方としては、全国の市町村の中で都市計画を定めるところにおきましては、やはりこういったマスタープランを定めるようにしてほしいという考えは持っておるところでございます。

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衆6(その他)マスタープランに地区計画を策定すべき区域を明示するよう指導したい

(建設委員会議録第9号、92.05.13、p.31)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 今後の進め方といたしましては、今回御提案申し上げております市町村のマスタープランでございます「市町村の都市計画に関する基本的な方針」におきまして、地区計画を策定すべき区域を市町村レベルにおきまして明示するよう指導することとしておるわけでございまして、これがとりあえず地区計画が促進される一つのきっかけになるのではないかと思っておるところでございます。

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衆7(その他)マスタープランに地区計画を明示することは効果がある

(建設委員会議録第9号、92.05.13、p.31)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 地区計画策定に関しますその地区の住民の方々の機運を高めるという直接的効果があるわけでございますが、より基本的に、そういった市町村のマスタープランという新しい制度ができましてその中で地区計画を明示するということでどんどん行政展開していくということは、地区計画制度そのもののPRにもつながるといったようなことを考えているわけでごさいます。

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衆8(マスタープランとは)各都市計画案を市町村のトータルな将来像に位置づける

(建設委員会議録第9号、92.05.13、p.32)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 直接的な義務づけといいますか、マスタープランをつくりましたら、そのマスタープランどおりにしなければ法律上罰則があるとか、そういった意味ではございません。マスタープランはあくまでマスタープランでございます。
 マスタープランに基づいて具体の都市計画決定がなされていく、。その場合に、都市計画決定というものは例えばある特定の街路を広げるというような都市計画の案になるわけでございますが、それが、自分たちの町をどういうふうにするための、今回はそれを広げる案なのかというあたりのところが、今我が国の都市計画の手続きの中ではいま一つはっきりしないという反省がございまして、一つ一つの都市計画の案がトータルとしてのその市町村の将来像との関係でどういうふうに位置づけられるかということをマスタープランの中で連係させていこうというのが、今回の御提案の趣旨でございます。

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衆9(整・開・保との関係)整・開・保の充実は後に回し、市町村マスタープランを提案

(建設委員会議録第9号、92.05.13、p.39)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 ただいま御指摘ございました「整備、開発又は保全の方針」におきまして、いわゆる都市計画のマスタープランが定められておるわけでございますが、私どももこのマスタープランの充実を図る必要があるという認識を持っておりまして、審議会でも大いに議論があったところでございます。
 それで、一体どういう点が一番問題なのかということを議論していきました場合に、都市計画は、かなり広範な土地利用計画から具体の街路等の都市施設も含めまして都市計画決定するわけでございますが、そういった一つ一つの都市計画の内容が、その地域の将来像という形でどういうふうにつながっていくのかどうか、その都市はどういうふうに将来なっていくのかといったこととの関連性がいま一つはっきりしないのではないかといったところが一つ一番大きな問題という把握をいたしまして、それならば、いっそのこと、「整備、開発又は保全の方針」の充実につきましては、もう少し日を改めましていろいろ検討するとして、思い切って、現在の制度ではないわけでございますが、各市町村ごとのマスタープランを定めてもらうことにいたしますならば、市町村単位でございますから、かなり具体的なビジョンが描けるのではないかという観点に立ちまして、新しく市町村のマスタープランという形で市町村の都市計画に関する基本方針というものを各市町村ごとに定めるという制度を御提案申し上げることにした次第でございます。

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衆10(マスタープランと権限)知事が定める都市計画にも機能を果たし得るよう充実を

(建設委員会議録第9号、92.05.13、p.39)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 市町村のマスタープランにつきましては、その市町村が責任を持って定めるものでございますので、当該市町村が定めることとなります都市計画につきまして直接連動するだけではなくて、知事が定める都市計画につきましても十分機能を果たし得るような内容になるように内容の充実を図っていく必要があるというふうに考えておりますが、法律上の規定におきましては、そこのところを必ずしもはっきりと明示しておりませんので、やはりマスタープランの内容が極めて重要であるというふうに思っておるところでございます。

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衆11(マスタープランとは)市町村のビジョンを具体的・ビジュアルに明らかに

(建設委員会議録第10号、92.05.15、p.3)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 今回御提案申し上げております市町村の都市計画に関する基本的な方針でございますが、これにつきましては、市町村の町づくりのビジョンを具体的に明らかにするものであってほしいというふうに考えておりまして、将来都市計画等によりまして市町村の町づくりを進める上に当たりまして、自分たちの町や村がどういうような町や村になっていくのかということを住民の立場から理解し得るような、そういう具体的なビジョンであってほしいと考えておるところでございます。
 したがいまして、具体的な内容につきましては、それぞれの市町村によりましていろいろな工夫、アイデアがあっていいと思っておりますが、一応基本的には、それぞれの地域の特性に応じました土地利用の問題あるいは公共施設の整備の問題、それで、具体的ないろいろな都市施設をどこに配置するか、それから区画整理とか再開発、それをどういうところで行うのか、あるいは地区計画の配置の問題、そういったもろもろの問題につきましてできる限り基本的な方針の中で具体的に明らかにしていくことによりまして、将来像がよりビジュアルにわかるようにやっていく必要があるというふうに考えておる次第でございまして、私どもも、そういう方向になりますようにできるだけ御協力を申し上げたいと思っておるところでございます。

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衆12(都市計画決定権限)広域の見地から決定すべき用途地域は知事決定とした

(建設委員会議録第10号、92.05.15、p.10-11)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 用途地域は都市計画のなかでも極めて重要な都市計画でございまして、(中略)、都市の将来像の骨格を決めるという意味におきましては最も基本となるものでございますし、またほぼ全域にわたって定められるものでございますが、先生も御案内と思いますが、実態上の都市は行政区域を越えて発展してまいっておりまして、市町村相互が緊密な関係を有する状況でございます。
 このような傾向は特に大都市圏等で大きいものでございますから、一の市町村の区域を越える広域の見地から決定すべきものの代表ではないかというところで、この用途地域に関しましては、市町村決定にせずに知事決定ということになっておるわけでございます。その中で、首都圏等の国土政策上からも重要な地域につきまして建設大臣の認可が必要であるというところで体系づけられておるところでございます。

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衆13(都市計画決定権限)これまでも権限委譲に努めており、今後も進めたい

(建設委員会議録第10号、92.05.15、p.14-15)

【答弁】山崎建設大臣
 都市計画につきましては、基本的には市町村が定めることになっております。都道府県が定める都市計画もございますが、その中で、国の行政と利害の調整が必要なもの、ごく一部でございますが、それに国が関与するということはございますが、それ以外は基本的に市町村において都市計画が定められるべきものと考えておるわけでございます。(中略)。
 ただ、現在臨時行革審等で地方分権につきまして御討議を願っておるところでございまじて、思い切って権限を移譲すべき分野について具体的なご提案があろうかと思いますが、恐らく都市計画につきましてもそのような分野に入るという認識は、行革審の委員の先生方にもおありになるだろうと考えておりますし、私どもももちろんそういうふうに考えておりまして、今日までも累次の改正の中でその方向で動いてまいりましたし、今回もそうでございますし、また今後ともそういう方向で法改正を検討してまいりたいと考えているところでございます。

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衆14(マスタープランとは)二段階都市計画への一歩の前進である

(建設委員会議録第12号、92.05.20、p.4)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 私もすべての欧米の計画、ちょっと熟知しておりませんですが、少なくとも、今旧西ドイツの例で御指摘がございましたBプラン、Fプランという意味合いにおきましては、今回御提案申し上げております市町村の基本方針は、旧西ドイツのFプラン的な法的位置づけまでは至ってないというふうに私どもは理解しております。
【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 今回の基本方針の中で地区計画に関しまして、その地区計画を実施すべきところを明示することとかいろいろ書いてございますので、地区計画と市町村の定める基本方針との関係は、ある意味ではBプランとFプランとの関係という意味合いにおいて類似している部分もあるとは思いますが、Bプランと地区計画とは、都市計画の機能その他におきまして必ずしも一致しているところでもございません(中略)。
 それを我が国におきまして今後どういう方向に進めるべきかということにつきましては、今後の検討課題だと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、今回の私どもの提案がそういった方向から見てある一歩の前進であるというふうには私どもは思っておるところでございまして、はっきりとその方向に向けた改正内容であるかどうかというお尋ねと思ったものでございますので、それをはっきり言い切るだけの自信はないということでございまして、方向は向いているんじゃないかなというふうには思っております。

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◆参議院建設委員会会議録

参1(マスタープランと権限)改正案は答申の決定権限に対する提言にこたえている

(建設委員会議録第8号、92.05.28、p.4)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 答申の中では、都市計画の決定手続に関しましてるる趣旨を述べた上で、「このため、基礎的自治体である市町村が、地域に密着した都市づくりを行う観点から、地区ごとの将来あるべき姿を明示し、主体的に都市づくりを行うための、市町村による都市計画のマスタープランを創設することが必要である。この場合、住民参加の仕組みを導入するとともに、都道府県ごとに設置されている都市計画地方審議会に加えて、市町村に設置されている審議会の機能の充実によりその積極的活用を図ることを検討する必要がある。」こういった提言になっております。
 今回の都市計画法の改正におきましては、この市町村のマスタープランの策定を市町村が行うという形で創設することにいたしまして、一応この答申の御提言に対しましてはおこたえした案になっておると思います。
(中略)都市計画の決定手続に関しまして、特にできるだけ市町村の権限を強化することとともに住民との対話を十分に図られるような手続を強化していくいったような観点につきましては、今回の改正案の問題にとどまらず、私どもといたしましては極めて重要な都市計画行政において常に課せられておる長期的な課題でもあるというような認識で考えておるわけでございます。

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参2(マスタープランと権限)市町村と知事の意見が違った場合は十分な協議を

(建設委員会議録第8号、92.05.28、p.17)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 具体の都市計画の案を決定する段階におきまして、確かに御指摘ございましたように市町村と知事との間で意見の相違がある場合も多々あろうかと思いますけれども、(中略)結局のところ、トータルとしての合意形成がなされることが肝要でございますから、そういう面につきましては、やや抽象的な御答弁で恐縮でございますけれども、地元の市町村と当該県とでは十分意見の調整が図られるように、どっちがどっちをどうするとかいうような観点ではなくて、十分な協議を重ねていただきたいというのが私どもの基本的な考え方でございます。

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参3(マスタープランとは)ゾーニングはきわめて重要な要素になり得る

(建設委員会議録第8号、92.05.28、p.18)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 市町村の都市計画に関する基本的方針、いわゆるマスタープランにつきましては、将来、都市計画を決めていく過程におきまして、その具体の市町村がどういったような町になっていくのかということが非常にわかりやすいように、できるだけ住民のコンセンサスが得られるようにということで考えておるわけでございますけれども、具体の市町村によりましては、ゾーニングの問題が極めて重要であるとふうに考える場合もございますでしょうし、場合によってはゾーニングの問題よりはもっと施設整備の方にウエートが置かれる場合もあると思います。
 (中略)やはりゾーニングといいますか、そういったようなところについて明かでないマスタープランというのはいま一つはっきりしないかなという意味では、このゾーニングの問題は極めて重要な要素にはなるのかなというふうに思っておるところでございます。

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参4(その他)都市計画決定ではいい案が重要なので、市町村レベルの専門家も大事

(建設委員会議録第8号、92.05.28、p.18)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 先ほど大臣の答弁でも触れましたように、都市計画の決定に関しましては、市町村の果たす役割、県の果たす役割、また国が関与する割合といったようなところで現行制度はできておるわけでございますが、ただいま先生から御指摘ありましたように、現実の都市計画を決める場合には、市町村の立場、県の立場等いろいろ意見の相違等もありましょうし、また具体の地権者の方々、市民の方々の考え方もあるわけでございまして、実際は大変難しい問題をいっぱい抱えておるわけでございます。
 しかし、最終的には、何といいましてもみんなの町づくりということで、そういう意味での全体の利益といいますか、公共の福祉という概念に沿った土地利用計画がなされなければならないわけですから、そういう意味におきましてはその案が最大多数の方々にとりまして最大公約数的に納得のいくような案であることがまず望まれるわけでございまして、そういった案に対しますいろんな個々の立場からの反論といいますか、御異論に対しましては、できるだけ説得に説得を重ねてその案でいけるように持っていきたいと思います。
 そういう意味におきましては、いい案をつくっていくということがきわめて大事なことでございますから、市町村レベルでの専門家、すぐれた能力のある人の養成ということも極めて大事でございますし、またさらには、どういう案が住民の方々の合意が得られるか、コンセンサスが得られるかという現状に対する正確な分析力といったようなこともあるわけでございまして、単なる専門的な知識を有する者がそういった点においてすべてすぐれておるというわけでもございません。いろんな問題に的確にしなきゃならないということで、私どもはあらゆる角度からいろいろ取り組んでいく必要があるというふうに思っておるところでございます。

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参5(マスタープランの策定)市町村レベルでの合意形成が重要なテーマ

(建設委員会議録第8号、92.05.28、p.18-19)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 我が国の場合は、市町村レベルでの町づくりに対する合意形成が不十分だったんじゃないかというふうに思っているわけでございまして、したがいまして、今回御提案申し上げております市町村のマスタープランという新しい制度は、どういったものをつくるというそういう方針を決めるということも大事ですが、方針を決める過程における合意形成というのが非常に重要なテーマであろうと思っております。

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参6(マスタープランの策定)具体的プロセスは各市町村の創意工夫にゆだねたい

(建設委員会議録第9号、92.06.01、p.23)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 市町村のマスタープランにつきましては、できるだけ市町村レベルにおきましていろいろと創意工夫を凝らしていただきたい、その際、住民の意見を十分反映させながらやっていただきたいという考え方に立っております。ただ、具体的なプロセス、手続につきましては、今回はそれほどの規定は置かないで各市町村の創意工夫にゆだねたいということに基本的にはしているつもりでございます。

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参7(都市計画決定権限)用途地域は広域的に定めるので、きめ細かさは地区計画に

(建設委員会議録第10号、92.06.02、p.1)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 用途地域につきましては、地区レベルのきめ細かな土地利用計画を定めることを目的とするよりは、むしろその都市全体の観点から、あるいは先ほど申し上げましたようなもう少し広い広域的な観点から、人口、産業等の将来の見通し等を踏まえまして、都市基盤施設との整合を図りながら、住居、商業、工業その他の用途及び密度の配分を定めることによりまして都市の規模も定めていく、こういう考え方に立つ都市計画でございます。
 したがいまして、そういったようなところで大枠が用途地域で定められている中におきまして、地区ごとといいますか、地域の特性に応じたきめの細かな土地利用規制としての地区計画等が行われるということが、トータルとしてのバランスのとれた町づくりができるという考え方に立っているところでございます。

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参8(都市計画決定権限)市町村が重要で、マスタープランはそれに沿ったもの

(建設委員会議録第10号、92.06.02、p.2)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 都市計画は町づくりの最も基本的な手法の一つでございまして、地方公共団体、特に御指摘がございましたように基礎的自治体である市町村が住民の意見を十分反映させながら主体的に推進していくことが重要であると考えております。
 こういう考え方に立ちまして昭和43年の現行都市計画法の施行の際に、従来国が行うこととされておりました都市計画決定を原則として市町村が行い、広域的、根幹的なものにつきまして都道府県知事が行うということにいたしまして、決定権限はすべて地方に委譲されておるところでございます。
 市町村と知事の権限配分を含めました都市計画の権限配分につきましては、従来より地方の自主性尊重の観点から必要な見直しも行ってまいってきたところでございますが、今回の改正案におきましては、市町村の都市計画に関する基本的な方針の創設等、市町村の権限の拡充に極力努めたつもりでございます。今後ともこういう方向に沿いまして一層権限移譲等に努めてまいりたいと考えております。

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参9(マスタープランの策定)推進に努力するが、時間よりも内容の方が重要

(建設委員会議録第10号、92.06.02、p.3)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 私どもといたしましても、この新しい制度ができるだけすべての市町村において活用されるように期待しておるところでございまして、そのためには、建設省といたしましては、何といいましてもその制度の趣旨、内容について十分に市町村に理解していただくことが一番大事だと思っておりまして、説明会はもちろんのこと、職員の方々に対します研修なども含めましていろいろと工夫してまいりたいと思っております。
 特に、そのマスタープランか実効性があるものといいますか、私どもが期待する線に沿ったものとなるためには、それぞれの市町村の特性に応じました自主性といいますか、創意工夫がなされることが必要でございますし、また、それに関します市民の方々の御理解、コンセンサスということも極めて重要であると思いますので、その辺につきましても情熱を傾けて各市町村で取り組んでもらいたい、こういうふうに思っているところでございます。
 したがいまして、いつごろまでに全国の市町村で策定事務が完了するのかというお尋ねに関しましては、できるだけ早くやってもらいたいという気持ちがないわけでもございませんが、むしろ、それぞれの市町村の実態、地域の実状に応じた内容のあるものにしていただきたいということでございまして、いたずらに形式に走るようなマスタープランではまた策定の意味もございません。そういう意味におきまして、私どもといたしましては、いついつまでに定めるようにとか、そういったような形で市町村を指導するというよりは、内容のいいマスタープランづくりに努めてもらいたいということで指導してまいりたいと思っております。
 そういう意味では少々時間がかかってもやむを得ないのではないかというくらいの気持ちで取り組みたいと今のところは思っているところでございます。

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参10(マスタープランとは)現在の都市計画が合わない場合は都市計画変更も必要に

(建設委員会議録第10号、92.06.02、p.4)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 私どもといたしましては、まず初めにマスタープランありきでございまして、そのマスタープランに従って具体の都市計画が決まっていくということが、市民レベルにおきましてもこの都市計画の持つ本来的意味が理解できるというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、経過的な問題といいますか、そういったようなところで、現在はこの基本的な方針がまだないわけでございますので初めに都市計画が先行しておるわけでございます。したがいまして、この基本的な方針、マスタープランを定める過程で具体的なビジョンが出てまいりまして、その基本的な方針の内容から見ますと、現在定められている都市計画の内容がそれに合わないという場合も考えられるわけでございます。
 そういう場合におきましては、せっかく定めるマスタープランであり基本的な方針でございますから、それに合ったような形で具体の都市計画も変更するといったようなことが必要になってくるのではないか、そういうふうに思っておるところでございます。

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参11(整・開・保との関係)市町村に密着した事項はマスタープランへ移行するだろう

(建設委員会議録第10号、92.06.02、p.4)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 市街化区域及び市街化調整区域の区域区分を都市が決定する際に、その内容として「整備、開発又は保全の方針」を定めるということになっておりますので、このいわゆる整・開・保は都市計画区域全体の観点から定めるマスタープランでございますし、また線引きの内容としての意味も強く持っておるものでございます。
 それに対しまして、今回創設することとなります市町村の都市計画に関する基本的な方針は、それぞれの市町村の具体的な町づくりのビジョンを明確に示す非常に地域に密着している計画、方針であるというふうに考えておるところでございまして、そういった点でもやや内容が異なってくるわけでございますが、別な観点から見ますと、いずれも地域の町づくりという観点では同じ方向を向いておるわけでございまして、お互いにそこのところは整合性がとれるものと思っておるところでございます。
 ただ、二つのものとをあえて比較いたしますと、市単位あるいは町単位の都市計画に関する極めて具体的な方針につきましては、今後は市町村の基本方針の方に具体的に書き込まれ定められていくということになると思いますので、その限りにおきまして、今までの「整備、開発又は保全の方針」の中でやや個々の市町村といいますか地域に密着した事項が定められている部分があるとするならば、そういったようなものは今後は市町村のマスタープランの方に移行していって、いわゆる整・開・保の方は都市計画区域全体についてのビジョンといったようなことでお互いが整理されていくようになるのではないか、またその方がよろしいのではないかというふうに考えておるところでございます。

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参12(マスタープランとは)基本構想は文章中心の大綱で、マスタープランは図面中心

(建設委員会議録第10号、92.06.02、p.4-5)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 市町村の基本構想は地方自治法に規定されておるわけでございますが、私どもの方で考えております市町村の都市計画に関する基本的な方針につきましては、政府案を決める際に、自治省とも十分協議しながら、地方自治法に基づく基本構想に即して定めるということにさせていただいておるところでございます。
 市町村の基本構想は、当該市町村の振興発展の将来図といいますか、あるいはこれを達成するために必要な基本的な事項、大綱を定めていくものと理解しておりますが、市町村の都市計画に関する基本的な方針の方につきましては、最終的に個々の都市計画で具体的に決められていくことになりますその内容につきまして、将来の市町村がどういった形で町づくりがなされるのかということがこの基本方針で明らかにされて、そしてその具体的な都市計画がそういう意味でどういう位置づけになるのかということがよく理解できるような、そういう非常に具体的なビジョンづくりといいますか方針ということを考えておりますので、その辺がまず違ってくると思います。
 現実にでき上がったものを比べてみるとよくわかるかと思いますけれども、どちらかといいますと、市町村の基本構想はやや文章中心の基本方針になっておるのではないかと思いますが、この都市計画に関する基本的な方針は、仮に文章が多いといたしましても、最終的にはやはり図面表示によって極めて明確にわかるような内容でなければ余り意味がないといったふうに考えておりまして、両方できてまいりますと、その辺が違いとしてかなり明確に違いが出てくるのではないかというふうに思っておるところでございます。

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参13(マスタープランの策定)住民意見の反映が極めて重要で、市町村が的確な措置を

(建設委員会議録第10号、92.06.02、p.5)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 御指摘ごさいましたように、市町村の都市計画に関する基本的な方針につきましては、この方針の内容が実効性を高めるという意味合いも含めまして、住民の意見を十分反映させながら定めることが極めて重要であるというふうに認識しておる次第でございます。したがいまして、十八条の二の第二項におきましても、そういった住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるということにつきまして、義務づけ的な規定も設けられておるところでございます。
 この場合におきまして、公聴会の開催ということが一番代表的な例示として挙がっておりますけれども、私どもといたしましては、公聴会の開催も念頭に置きながら、それ以外のいろんな方法、公聴会以外でございますと例えば説明会とかあるいは地区協議会の開催場合によりましては審議会を設けましてそこへ付議する、あるいはアンケートの実施、意見書の提出、その他まだいろんなことが考えられると思いますが、そういったことを講ずる。
 それぞれの市町村の実態に応じまして、また市町村の規模の大小によりましてもかなり違いが出てくる、影響してくると思っておりますが、そういった相違も含めまして、市町村が自主的な判断をなさいまして最も的確な措置が講じられるようにしていただきたいというふうに考えているところでございます。

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参14(マスタープランと権限)市町村中心に定めるべきで、将来像を自由に描いてよい

(建設委員会議録第10号、92.06.02、p.7-8)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 都市計画といいますか町づくりにおきましては、本当に先生御指摘のとおり、それぞれの地方におきまして創意工夫してアイデアを出して個性豊かな町づくりを進めていくことが、その町の魅力を高めていくことになり、ひいては若者にとりましても定着性の高い町になるというふに私ども考えておる次第でございます。したがいまして、制度的には昭和四十三年に、何回も御答弁申し上げておりますように、市町村が都市計画決定できるようになっておるわけでございます。
 ただ、広域的、根幹的なものというのはどうしてもあるわけでございまして、それは知事が定めるということになっておりまして、言ってみますと県と市との関係をどういうふうにするのかという問題は、地方自治の大きな枠の中でもなかなか難しいテーマであるというふうに思っておる次第でございます。しかし、都市計画は市町村ができるだけ中心になって定めるべきであるというふうに私どもも考えておる次第でございます。
 今回の改正案の中で特に再度強調させていただきたいと思いますのは、市町村の都市計画に関する基本的な方針、いわゆるマスタープランづくりという中で自分たちの町をどうしたらいいのかということについてはある意味で全く自由に描けるような仕組みをつくらせていただいているつもりでございますので、これを十分いい内容に仕上げる過程におきまして、都市計画とか町づくりとかいうことに関して住民の方々が積極的に興味を持ち、御意見を発表していただいて、そしてそれが具体的な計画内容にまで発展するという方向にぜひ持っていっていただきたいと心から念願しておる次第でございます。

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参15(その他)衆議院修正は政府の考えを認めたうえで位置づけを明確化した

(建設委員会議録第10号、92.06.02、p.14)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 衆議院の御審議の際に御答弁申し上げたことでございますが、私どもも、市町村の都市計画に関する基本的な方針は基本的には市町村が任意に定めるものであって、特に義務づけということは考えておりませんでしたのですが、ただ、それはあくまで市町村の自主性に任せたいという考え方からそういう御提案を申し上げておりましたのでございまして、市町村どもの願いといたしましては、都市計画を定めるすべての市町村においてこういった基本的な方針を策定されることが望ましいものと考えておった次第でございます。
 したがいまして、ただいま御指摘ございましたように、衆議院の段階で「定めることができる。」というのが「定めるものとする。」という形に修正をされまして、策定義務が明確化されたことになりまして、その結果といたしまして都市計画を定める市町村すべてについて基本的な方針の策定義務が課せられたことになったことでございますので、私どもといたしましては、そういう意味におきまして、政府の考え方もある程度認めていただいた上で、なおさらなる位置づけを明確にしていただいたのかなというふうに積極的に評価しているところでございます。

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参16(整・開・保との関係)整・開・保は都市計画区域全体で、市町村単位がなかった

(建設委員会議録第10号、92.06.02、p.20)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 「整備、開発又は保全の方針」は、市街化区域及び市街化調整区域の区域区分を都市計画で決める際にあわせて都市計画で決めるものでございまして、(中略)、それがどの程度機能してきたかということについてはいろいろと御議論もあるわけでございますが、基本的にはそういった方針に基づきまして具体的に市街化区域及び市街化調整区域の線引きがなされているわけでございまして、これは我が国の都市計画制度の根幹をなすものでございますので、私どもの理解としてはこの「整備、開発又は保全の方針」は都市計画の最も大事な基本となる部分についてはそれなりに機能しておるというふうに思っておるわけでございます。
 別の観点から申しますと、したがいましてこれは線引きが定められた都市計画区域の中で決められる方針でもございますし、また都市計画区域全体にわたるマスタープランでございまして、いわゆる線引き都市計画区域はかなり広域にわたる都市計画区域として広く設定されているところが結構多うございますので、具体の市町単位に見ますと、その市町が具体的にそういう意味でのマスタープランを持っているというふうにはなかなかならないわけでございます。その辺が一つの都市計画のマスタープランとしては限界があるのではないかというふうに思っておるところでございます。

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参17(整・開・保との関係)整・開・保を尊重しながら定めるのが現実的

(建設委員会議録第10号、92.06.02、p.20)

【答弁】市川政府委員(建設省都市局長)
 今回の新しい制度ができますと、各市町村単位で具体的な都市計画に関する基本方針を定めることになると思います。その過程におきまして、「整備、開発又は保全の方針」の内容が場合によりまして修正を要する場合が出てくるかもしれません。その場合はそれをできるだけ早い機会に正すといったような必要になってくるわけでございまして、その辺が運用の問題という意味では運用の問題でございますが、ただ、基本的には「整備、開発又は保全の方針」と市町村の都市計画に関する基本的な方針とは整合性がとれている必要があるわけでございまして、「整備、開発又は保全の方針」はかなり都市計画の根幹にわたる問題についての方針でございますので、市町村の具体的なマスタープランづくりにおきましてはできるだけ「整備、開発又は保全の方針」というものを尊重しながら定めていくことの方がむしろ私は現実的なのではないかなといいうふうに思っております。
 それでも現実には大分前に定められた方針のためにちょっと矛盾する部分が出てくるということも有り得ると思いますが、そういう場合はちゅうちょなくその「整備、開発又は保全の方針」を改正するということも適宜行うように指導してまいりたいと思っておる次第でございます。

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